Manjaro Linux について

Manjaro は、Arch オペレーティングシステムをベースとした、高速で軽量なLinux ディストリビューションです。ユーザーフレンドリーであることに重点を置いているので、経験豊富な Linux ユーザーだけではなく、Linux初心者にも適しています。
Manjaro は、Arch の公式リポジトリを使用せずに、独自の独立したリポジトリを保持しています。通常 Arch からテスト期間を得て、 Manjaro の Stableリポジトリに公開されます。そのため、Manjaro は Arch よりも安定しています。

デスクトップ環境は、Xfce、KDE、GNOMEが提供されています。
各々の特徴は、
Xfceは、カスタマイズ性の高い軽量なデスクトップ環境で、スペックの低いハードウェアに最適な選択肢です。
メモリ4GB推奨です。
Gnomeは、モダンでシンプル、直感的に操作出来ます。カジュアルユーザーにお勧めです。
メモリ8GB推奨です。
KDE(Plasma desktop)は、豊富な機能とオプションがあり、自分好みにカストマイズ出来ます。
メモリ8GB推奨です。

Manjaro はローリングリリースモデルを採用しており、一度きりのインストールで永続的なソフトウェアアップグレードが可能です。そのため、すべてのソフトウェアパッケージの最新版が常に利用可能です。(新しいバージョンを取得するためにオペレーティング システムを再インストールする必要がありません。)
注意点として、アップデートがあればすべてアップデートされるので、かなりのネットワーク帯域幅が必要です。1GB前後のダウンロードが必要な場合もあります。
また、ソフトウェアをインストールする前にシステムを最新にアップデートする必要があります。そうしないと、システムが一貫性のない、部分的にアップグレードされた状態になる可能性があります。

Xfce Desktop 、KDE Plasma Desktop については、下記の記事を参照してください。

事前準備

Manjaro のインストールイメージは、公式HPからISO ファイルとしてダウンロードできます。

ダウンロードしたISOファイルから起動可能なUSBメモリを作成します。
ディスク書き込みアプリケーションは、Windows PCでは、Rufusが使用出来ます。シンプルで操作が簡単な balenaEtcher もお勧めです。
Linux PCのGnome環境では、ディスク管理ユーティリティ(gnome disk utility)が使用出来ます。
USBメモリの容量は8GBあればOKです。

ManjaroをインストールするPCのBIOS(UEFI)バージョンを最新に更新しておきます。
BIOS(UEFI)アップデートはWindows OS上で事前に行うことをおすすめします。
Linux PCからでは難しいので・・・

BIOS(UEFI)設定画面から、UEFIがオン、セキュアブートがオフになっているか確認します。
署名済みのブートローダーを使うと、セキュアブートが有効でも起動できるようにはなりますが、そのための手順が必要となるので、無効にした方が良いかと・・・
BIOS (UEFI)画面を起動する方法は、使用するPCによって異なりますが、ほとんどの場合、起動直後のロゴ画面で、F2 や Delete キーを押すことで、起動できます。

Linux利用時に無線Lan子機が認識してくれずWifi接続が出来ない場合は、
・Wifi接続しているスマホでUSBデザリングを利用(お薦め)
・モバイルWifiルーターからUSBデザリングを利用
・ホテルルーターをクライアントモードで使用して、有線LANポート接続を行う
・デスクトップPCの場合は、インテルワイヤレスチップセット使用のPCIe無線LANカードを増設
等の方法があります。
PC周辺機器やWifiについては、Windowsでの動作が前提で作られているので、Linuxでは自動認識せず、使えないことが多々あります。初心者には敷居が高い原因ですね。

インストールに使用したPCは、こちらの3万円PCです。
標準メモリを4GBから8GBに換装していますが、低スペックなりのもっさり感があります。
Windowsのライセンスについては、一度デジタルライセンス認証してしまえば、プロダクトキーは不要ですが、Microsoft アカウントにも紐付けています。(いつかWindowsに戻すときのために・・・)
因みにこの機種は、標準インストールでWifi接続出来ます。
※ インテルDual Band Wireless-AC 3165 で認識しています。
※ インテルワイヤレスチップセットは、linux-firmware パッケージによって提供されていますので、起動時に自動認識します。

EX.computer note N1400Lシリーズ N1400L100T/PRO/WH 

インストール

作成した起動可能なUSBメモリをPCに差し込み、電源を入れます。
起動直後のロゴ画面でF12キー等を押すと起動ディスク選択画面が表示されます。
USB起動ディスクを選択してください。
上手く起動出来ない場合は、BIOS(UEFI)メニューから起動デバイスの優先順位を変更します。
(インストール後に元に戻す必要有り!)

ライブディスクから起動したら、
tz = Asia/Tokyo ※タイムゾーン
Keytable = jp ※日本語キーボード
lang = ja_JP ※日本語を使用
に設定後、
通常は、Boot with open source drivers
を選択します。

Manjaro Helloの画面が表示されたら「インストーラーを起動」を選択します。
Calamaresインストーラーが起動します。
インストールにかかる時間は、PCのスペックにもよりますが、約10分程度と非常に高速です。

「日本語」を選択します。

世界地図上で、東京の場所をクリックします。

キーボードを自動認識していれば、下画像の様になっています。

複数のストレージ構成PCの場合、インストールするストレージデバイスを選択します。
Windows OSは必要無いので、「ディスクの消去」を選択します。
スワップ領域の構成は、メモリ不足対策のため「ファイルにスワップ」を選択しています。

※複数のストレージ構成PCの場合、ストレージデバイス毎に異なるOSをインストール出来ます。
※1台のパソコンの中に複数のOSを入れて起動時に任意のOSを選択して起動するマルチブート(デュアルブート)構成も可能です。Windows 11 と Linux のマルチブートは、セキュア ブートの絡みがあるので、カジュアルユーザーでは無理なので諦めましょう(笑)。Linux同士の組み合わせは簡単です(但し、OS毎にインストールするストレージを分けること前提です)。

セキュリティ上、root(管理者)アカウントは無効にしておきます。
「管理者アカウントと同じパスワードを使用する。」にチェックを入れることにより、root パスワードを設定しないため、root アカウントは無効となります。
root権限 で行う処理は、sudo コマンドを使用します。

要約を確認して、「インストール」ボタンを押します。

「実行」を押して、インストーラーを終了します。

最後に、トップバー(画面最上部にある水平のバー)右側のシステムメニューからシャットダウンして、インストール用USBドライブを取り出して、コンピュータを再度起動するだけです。

ファイアウォールの設定

アクティビティ画面より、「firewall」と検索し、表示されるファイアウォールアプリを起動します。

プロファイル欄で、自宅を選択して、ステータスを右スライドさせます。

ファイアウォールにより、インターネットを通じた外部から内部への不正な侵入を遮断し、内部から外部への不正なアクセスを禁止することが出来ます。

初回アップデート

インストールに使用したISOファイルは、ISOファイルが作成された時点でのスナップショットなので、それ以降の更新パッケージがあります。
そのためシステムを最新に更新する必要があります。

アプリケーションランチャーから「ソフトウェアの追加と削除」を起動します。

使用するミラーサーバーを日本に設定します。(国内の方が通信が安定するので!)

「ミラーをアップデート」を選択し、少し待ちます。

「データベースをアップデート」を選択し、パッケージデータベースをアップデートします。

アップデート可能なパッケージが表示されるので、適用ボタンを押して、システムを最新に更新します。

再起動しましょう。

Manjaroセッティングマネージャー

アクティビティ画面より、「manjaro setting manager」を検索して、アプリを起動します。

言語パッケージ画面から、日本語パッケージをインストールします。アプリケーションを追加した場合もこの画面に日本語パッケージが表示されます。

NTPサーバー(Network Time Protocol Server)を利用して、日付と時刻を自動調整します。
「自動的に日付と時刻を設定」にチェックが入っているか確認します。

日本語キーボードに設定します。

日本語環境の設定

日本語入力は、Waylandセッション対応のフレームワーク「fcitx5」とgoogle日本語入力派生の「Mozc」をインストールします。

「ソフトウェアの追加と削除」を起動して、「fcitx5-im」を検索します。
4つのパッケージが表示されるので、全て選択します。

「manjaro-asian-input-support-fcitx5」を検索して、選択します。
適用ボタンを押します。

オプション依存選択画面が表示されますが、KDE関連と思われるので、ここではキャンセルします。

「fcitx5-mozc」にチェックを入れて、選択ボタンを押します。

適用を押します。

再起動しましょう!

デスクトップ左上のアクティビティを押して、アクティビティ画面の検索ボックスに、「fcitx5」と入力し、検索結果からFcitx5設定アプリを起動します。

画面左側の現在の入力メソッドを下画面の様に設定します。

「システムキーボードのレイアウトを選択」では、レイアウトに日本語を設定します。

グローバルオプションから入力メソッドの切り替え方法が確認できます。
全角半角キー以外にもControl+スペースでも切り替えができます。

Fcitx5 設定後、トップバーの右端にある電源ボタンからPCを再起動させます。

再起動後、キーボードの半角全角ボタンを押すと、日本語入力ができます。

SSD TRIM について

Trimはドライブの速度を向上し、寿命を延ばすことができる便利なツールです。
最近のSSDはすべてTrimなしで使用することを前提に設計されていますので、下記のTRIM設定は必ずしも必要ということではありません。

端末から下記コマンドを入力して、Enterキーを押します。

sudo systemctl status fstrim.timer

現在のステータスが確認出来ます。
SSD Trimは、システム上「inactive(dead)」、無効となっています。
インストール時に有効となっている場合は、「active(waiting)」と表示されます。

SSD Trimを有効にするために、次のコマンドを入力します。

sudo systemctl enable fstrim.timer
sudo systemctl start fstrim.timer

これでTRIMが有効になり、SSDのパフォーマンスと寿命を最適化することができます。

sudo systemctl status fstrim.timer

Chromiumブラウザのインストール

Chromium は、Google Chrome のオープンソース版です。

どうしてもGoogle Chrome を使用したい場合は、AUR(Arch User Repository)を有効にします。
但し、Arch Linux ユーザーコミュニティが管理するリポジトリである AUR には潜在的なリスクや問題があります。私は、システムの安定性を考慮してAURを極力使用しない方針です。

標準ブラウザのFirefox を必要としない場合は、依存パッケージを含めて削除する必要があります。
下記画面では、3つのパッケージを選択しないと削除出来ません。

chromium をインストールします。

オプション依存は、KDE と思われるので、キャンセル。

適用ボタンを押します。

ダッシュボード(アプリケーションランチャー)に追加しておきます。
アプリケーションを表示するを押すと、アプリケーション一覧が表示されます。

マウス右クリックで、ダッシュボードにピン留めします。

Google Font の設定

Google の無料フォントファミリー、「Noto CJK JP」をインストールします。
「Noto Sans CJK JP」はゴシック体、「Noto Serif CJK JP」は明朝体です。

パッケージ名は、noto-fonts-cjk です。

システムフォントを変更するため、GNOME Tweak Tool を起動します。

下画面の様に設定します。

ブラウザのフォントも変更しておきます。
Chromium の設定を開き、デザイン → フォントをカストマイズ

下画面の様に、変更しておきます。

Caffeine-ng の自動起動

スクリーンセーバーの無効化やシステムがスリープ状態になるのを防ぐことができる Caffeine インジケーターをスタートアップアプリケーションに追加しておきます。

プラスボタンを押します。

Caffeine-ng を選択して、追加ボタンを押します。

小電力モードやスクリーンセーバーを無効化したいときに、スクリーンセーバーの無効化にチェックを入れます。

GNOME Shell拡張機能 Dash to Dockの設定

拡張機能を起動して、アプリケーションドックをカスタマイズします。

アイコンサイズの上限を変更

ゴミ箱を表示のスライドスイッチをON

GNOME Shell拡張機能 手動でインストール

GNOME Shellには、拡張機能というデスクトップ画面を自分好みにカストマイズ出来る仕組みがあります。
Manjaroに最初から組み込みされている拡張機能の他に、追加も出来ます。(但し、システムの安定性を損なう可能性があるので、要注意です!)

ブラウザからGNOME Shell Extensionsサイトを表示します。

初回は、「ここをクリックしてブラウザー拡張機能をインストールしてください」をクリックして、「GNOME Shell integration」拡張機能をブラウザに追加する必要があります。

「Chromeに追加」を選択します。

「拡張機能を追加」を選択します。

サイトの再読込をして、「RunCat」を検索します。
検索結果の「RunCat」を選択します。

画面右上のスイッチをOFFからONにスライドさせるとインストールされます。

トップバーに、猫ちゃんが表示され、癒やされます(^○^)
CPU負荷が高いと駆け出し、負荷が低いとゆっくりと歩きます。
設定で、%表示を消すことも出来ます。

拡張機能画面の手動でインストールの箇所に追加されます。
Blur my Shell や internet speed meter もお勧めです!

Gnome45 にアップグレード後は、通知表示に従い、kimpanel(インプットメソッドパネル)をインストールします。

注意点として、SNAPパッケージのブラウザを使用している場合は、こちらの方法は使用出来ません。
また、追加したい拡張機能が、最新のGNOME Shellに対応していない場合も使用出来ません。

オフィススイート Libre Office のインストール

オフィススイートは、LibreOffice を使います。
LibreOffice は、PDF形式にエクスポートする機能がついているので、とても便利です。
※最新のcalamaresインストーラーでは、オフィススイートをインストール時に選択出来るようになっています。

今回は、Manjaro Hello からインストールします。

Manjaro Hello から Applications を起動させます。

Office Suites カテゴリから、
規定でインストールされている OnlyOffice は削除するので、チェックを外します。

新規にインストールする Libre Office (Fresh) にチェックを入れます。
Freshは最新版、Stillは安定版です。

因みに、Manjaro Hello の Applications を使用すると、カテゴリ毎にどのような主要アプリがあるのかを知ることができます。

適用をクリック

オプション依存は、何が必要なのかわからないので、とりあえずキャンセルをクリック。
機能が必要なときに再インストールでよろしいかと・・・(・_・;)

適用をクリック

次に、Manjaroセッティングマネージャーより、日本語パッケージをインストールします。

Libreoffice は、Microsoft Office 互換機能があるので、 Word文書 や Excelファイルを開くことも出来ます。

VPN Gate を使う

インターネット利用時のプライバシー保護強化の為、VPN接続を行います。

GRUB メニューを有効にする

Manjaroを起動すると、GRUBメニューが表示されず、デフォルトのカーネルで起動します。
もし一度だけメニュー表示が必要なら、起動直後のGRUB処理中にESCキーを押します。この方法はタイミング的にかなり厳しいので、数秒間は常に表示するように設定変更を行います。

下記のコマンドで、設定ファイルを開き、メニューの表示方式を変更します。

sudo gedit /etc/default/grub

GRUB_TIMEOUT_STYLE=hidden → GRUB_TIMEOUT_STYLE=menu に変更
GRUB_TIMEOUT は、デフォルトのOSが起動するまでの秒数です。時間以内に何かキー入力をすれば、カウントダウンが停止します。

設定後に、下記のコマンドを実行し、設定ファイルの内容を反映させます。

sudo update-grub

次回再起動後に、GRUBメニューが表示されます。

Firefox に拡張機能を追加する

翻訳機能の Simple Translate を追加します。
Linux 情報を調べるときに、日本語翻訳機能は必須です!

アプリケーションメニューより、「設定」を選択します。

左側のメニューより、「拡張機能とテーマ」を選択します。

検索ボックスに「Translate」を入力し、検索結果より「Simple Translate」を選びます。

「Firefoxへ追加」ボタンを押します。

「追加」ボタンを押します。

「OK」ボタンを押します。

拡張機能の管理画面で、「設定」より、検索エンジンを選択出来ます。
Google翻訳API の翻訳エンジンが既定値ですが、DeepL API も使用出来ます。
使用料無料の DeepL API Free に登録して認証キーを取得する場合は、クレジットカード登録が必須なので注意が必要です。
私は、Google翻訳API で使用しています。

マウスで範囲選択した箇所の翻訳が出来ます。

同様に、広告ブロッカーの uBlock Origin を追加しておきます。
不必要な広告をブロックして、ネットサーフィンを快適にします。
こちらの機能拡張も必須ですね!

FirefoxをWaylandネイティブで動作させる

Gnomeデスクトップ環境のウィンドウシステムは、Waylandセッションで動作していますが、Webブラウザーの「Firefox」は2023年5月時点では、デフォルトでWaylandが有効になっていません。
Waylandネイティブで動作させると、ウェブページの読み込みが速くなります。

Waylandとは、従来からのXorg(X Window System)の後継で、画面描画方法が新しくなったウィンドウシステムです。

Firefoxで、about:supportと入力して、Firefoxがどのようなモードで動作しているかを確認します。
下記画面では、ウィンドウプロトコルが、xwayland (Wayland 下で実行されるX11互換)となっています。

Waylandをデフォルトにするため、任意のテキストエディタで以下のように環境変数を設定します。

sudo gedit /etc/environment
MOZ_ENABLE_WAYLAND=1

PCを再起動して、確認します。
ウィンドウプロトコルが、wayland に変更されています。

恒久的ではなく、一時的に変更するには、ターミナルから以下の様に起動します。

MOZ_ENABLE_WAYLAND=1 firefox

Timeshift (システム全体のバックアップ)

パッケージのアップグレードを行う前に、システム全体のバックアップを取得しておくことを推奨します。
Manjaro はローリングリリースをベースとしている為、かなりの数のパッケージが置き換わるので、まれに不具合(バグ)が発生します。たいていは数日待てば修正パッケージが配布されて解決されますが・・・
Arch Linux 程ではありませんが、自分で問題を解決する“do-it-yourself”の姿勢が必要なときもあります。バックアップを取得しておけば、アップグレードを行う前の状態に、システムを復元することが可能です。

アクティビティ画面の検索ボックスで検索して起動させます。

初回起動時にセットアップウィザードが起動します。

私の場合はスケジュールは設定していません。
都度、手動でバックアップを取っています。

作成を選択すると手動バックアップが開始されます。

表示を選択するとバックアップ先のフォルダ情報が表示されます。

私の環境では、11.5GBのディスク容量を使用していました。
ディスク空き容量に余裕がないときは、注意が必要です。