追記)
MX-25以降、標準のDebianカーネルを使用する通常版のISOイメージにおいて、セキュアブート(Secure Boot)対応が追加されました。
KDE版では、Waylandがデフォルトに設定されています。
はじめに
MX Linux は、Debian Stable ベースの非常に安定性が高いLinuxディストリビューションです。
Debian パッケージ上に、特定のアプリケーションやドライバのみを最新の状態に保つハイブリッドなアプローチです。一言で言えば、「OSの核心部はDebian安定版を使い、中身のアプリだけ常に新しく保つ仕組み」です。
MX Linuxの人気の理由は、このセミローリングモデルによる運用のしやすさにあると思います。
Debianのベースバージョンが変わる際(約2年ごと)には、OSの再インストール(クリーンインストール)という運用が必要になります。
KDE Plasma edition は、ブラックボックス感が少なく、自由なカスタマイズ性とモダンな美しさを備えながらも動作は驚くほど軽快です。Linux 初心者にも理想的な環境だと思います。
MX Linux は軽量で、高速に動作するため、Windows8世代のPC(メモリ8GB+SSDの組み合わせであれば)でも快適に動作します。
インストール
今回、MX Linuxをインストールするにあたり、以下の構成を前提条件としています。
Secure Boot: 対応
init: systemd
Swap: zRAM + 物理スワップ併用
Wi-Fi: Intel NIC
FS: Btrfs
DE: KDE (Wayland)
公式HPからダウンロードしたISOファイルから作成した、起動可能なUSBメモリをPCに差し込み、電源を入れます。
※ISOファイルのダウンロードは、時短の為、国内のミラーサイトを使用します。
※USBメモリへISOファイルを書き込むには、balenaEtcher が便利です。
使用言語(lang=ja_JP)、キーボード(kbd=jp)、タイムゾーン(tz=Asia/Tokyo)を設定します。
その後、ブートメニュー(GRUB)から SysVinit と systemd のどちらかを選択して起動します。
systemd (現代の標準)がおすすめです。
※ SysVinit とsystemd は、どちらもOS起動時に最初に実行されるプロセスであり、システムの管理を行う仕組みです。

MX Linux 起動後、画面右下のシステムトレイからWi-Fi ネットワークに接続出来るか確認します。
セキュアブート(Secure Boot)が有効な環境において、Wi-Fiドライバが「カーネル標準(カーネルツリー内モジュール)」である場合、基本的には問題なく動作します。
IntelのWi-Fiドライバは、Linuxカーネルに標準で含まれているため、OSを起動するだけで通常は動作します。


Wi-Fiに繋がらない場合は、セキュアブートを無効にする(最も簡単)
1. PCを再起動し、BIOS/UEFI設定画面(F2, F12, Deleteキーなど)を開きます。
2. 「Security」または「Boot」タブにある Secure Boot を Disabled(無効)に設定して保存します。
3. 再起動してWi-Fiが繋がるか確認してください。
「MX Linux (Xfce Desktop) インストール手順」の記事が参考になります!
MX Linuxをインストールする前に、ライブ環境(USB起動時)でインストーラー(mx-installer)自体を最新版に更新することで、バグ修正や改善が含まれた最新のインストーラーで作業を進めることができます。
Konsoleから下記コマンドを実行します。 ※パスワード: demo
sudo apt update
sudo apt install mx-installer
MX Linuxのデスクトップにある「インストール」アイコンをクリックすると、インストールプロセスが開始されます。


使用する物理ディスク1台に対して、1つのOSをインストールすることを推奨します。
カジュアルユーザーの方は、複数OSのデュアルブート構成は諦めましょう!
今回は、Btrfs(ビー・ツリー・ファイル・システム)を使用したいので、カストマイズを選択しています。
Btrfs を使用すると、後述の高速なスナップショット機能(システムの復元ポイント)が利用できます。

ESPパーティション(EFI System Partition)とは、コンピューターが起動する際、最初に読み込まれる起動プログラム(ブートローダー)専用の領域です。現代のPCで主流のUEFI(旧来のBIOSに代わる仕組み)において、OSを起動させるために不可欠な役割を担っています。 ※下記画面のsda1
Btrfs領域は、ESP領域とSWAP領域のサイズを決めてから残り全ての領域を割り当てます。
バックアップツールの Timeshift でBtrfsの機能を活かすためには、サブボリュームの作成が必要です。
サブボリューム名を @(ルート用)および @home(ホーム用)にします。 ※下記画面のsda2
このPCでは、zRAMと物理SWAP(パーティション)を併用します。また、休止状態(ハイバネーション)を使用しないことを前提としています。
SSDの寿命を延ばすために、スワップにzRAM(メモリ内圧縮スワップ)を使用するので、物理SWAP(SSD上の領域)は「保険」の意味で設定しています。 ※下記画面のsda3

意図したディスクレイアウトになっているか確認します。

GRUB(GRand Unified Bootloader)は、ESP領域にインストールします。

zRAM swapを有効化します。
Linuxカーネルは、優先順位が高いスワップ領域から順に使用します。
zRAMを優先的に使い、それが一杯になった時だけ物理スワップに書き出すように設定されます。
下記画面では、物理メモリ8GBに対して40%をzRAM swap領域に指定しています。
zRAMと物理スワップを併用する設定における物理RAM容量ごとの推奨設定値は、使用するPCの仕様や使い方によって変わるので、生成AI(Gemini等)に対話形式で提示してもらうのが良いかと思います。

Windows PC とのファイル共有を行わない場合は、「MSネットワーク用Sambaサーバー」のチェックを外しておきます。


セキュリティ向上のため、Root(管理者)アカウントのパスワードは設定しません。
管理作業は自分自身のユーザーパスワード(sudoコマンド)で行います。



MX Linuxなら10分〜15分程度でインストールが終わります。
感動です!
インストール後、デスクトップ上の「MX ユーザマニュアル」と「FAQ」を一読しておくことをおすすめします。

インストール後の確認
fastfetch コマンドで、システム情報を確認する。
Disk : SSD(SATA規格) , Memory : 8GB , CPU : Celeron でも、KDE Plasma がストレス無く使用出来ています。

セキュアブートが有効かどうかを確認。
SecureBoot enabled: 有効になっています。
mokutil --sb-state

セキュアブートが有効な環境では、Linuxカーネルは、「ロックダウン(Lockdown)モード」 で動作します。

Intel製のWi-FiチップはLinuxとの相性が非常に良く、特別な設定なしでセキュアブートの認証をパスします。
Intel Wireless 3165 は、Bluetoothも使用出来ます。

Btrfs を使いつつ、zRAMスワップ と 物理スワップ領域(パーティションやファイル) を併用出来ているか確認。

zRAMがスワップ領域として認識されていない場合は、systemdのマスクを解除し、自動起動を有効化します。
# サービスの強制無効化(マスク)を解除する
sudo systemctl unmask zramswap.service
# 自動起動を有効にする
sudo systemctl enable zramswap.service
# 今すぐサービスを起動する
sudo systemctl start zramswap.service
# 正常に有効化されたか確認する(結果に /dev/zram0 が表示されていれば無事解決です)
swapon --show


リポジトリの変更、初回アップグレード
MX リポジトリマネージャーより、MXリポジトリとDebianリポジトリを選択します。


リポジトリ設定後、MXパッケージインストーラを起動し、「全てアップグレード」を行います。
初回は、それなりに時間がかかります。

コンソール出力により、バックグラウンドで行われている実際の処理状況をリアルタイムで詳細に把握できます。

Discover ソフトウェアマネージャーからもパッケージ管理が出来ます。
「MX パッケージインストーラ」の代わりとして使用することができます。

日本語環境の構築
日本語入力は、「fcitx5」フレームワークとGoogle 日本語入力「Mozc」を使用します。
標準インストールされている「IBus」フレームワークは必要が無いので、削除します。
※インストール済みパッケージを「ibus」で検索します。

最低限インストールすべきパッケージですが、おそらくは下記パッケージと思われます。
fcitx5 fcitx5-mozc fcitx5-config-qt mozc-utils-gui kde-config-fcitx5
注意)
im-config はKDEの場合、必要ありません。
もしすでに im-config がシステムに入っている場合は、設定を無効化するか、パッケージごと削除しましょう。
※Wayland 環境の KDE では、デスクトップ環境自体が入力方式の起動や制御を直接行います。

PC再起動後に、
「KDE システム設定」より、Fcitx5 の設定が下記画面の様になっているかを確認しておきます。

こちらの設定も確認しておきます。
※英語(English)は必要ないので削除しています。

KDE & Wayland & Fcitx5 の組み合わせの場合は、仮想キーボードに “Fcitx5” を設定します。
※ Waylandセッションを使用するのでしたら、安定性を求めて、Debian 13 (trixie)ベースのMX Linux 25 を待ちましょう。MX Linux 23 は、X11セッションで使用するのが良いと思います!

各アプリ用の日本語パッケージをインストールします。

google日本語フォント、「Noto CJK JP」をインストールします。

システムフォントをgoogle日本語フォントに変更します。

ブラウザのフォントをgoogle日本語フォントに変更します。

絵文字が変換候補に表示されない場合は、”fonts-noto-color-emoji”パッケージをインストールします。
PC再起動後に、絵文字が変換候補に表示されます。



TimeShift (Btrfs モード)によるバックアップ
MX LinuxのBtrfs環境において、Timeshiftのスナップショット作成になぜか1分ほどかかってしまう現象が発生しています。通常なら一瞬で作成されるはずなんですが、原因をあれこれ調べてみても解決できませんでした…!
オープンソースのツールなので、これからのアップデートで直るのを気長に期待して待ちたいと思います!
現時点での代替手段として、Timeshiftの代わりに後述の「Snapper(Btrfs Assistant)」へ乗り換える方法があります。
Timeshift で Btrfs モードを利用すると、ファイルシステム自体の機能を使うので、バックアップ(スナップショット)が高速で動作します。
デメリットとして、保存先が必ずシステムパーティション内となるので、ディスクそのものが物理的に壊れた場合は、バックアップ(スナップショット)も同時に失われます。
「アップデート後の保険」として割り切る用途での使用となります。
セットアップウィザードを実行します。



必要に応じて選択します。

「@home(ユーザーデータ)は含めない」は、推奨設定です。
システムを巻き戻したときに、ホームホルダ内のファイルが過去に戻ってしまうのを防ぐためです。



初期プロセス実行方法の変更 sysVinit → systemd
MX-25.1からはインストール時に、システム起動時に実行されるプロセスを選べる仕組みに変わっています。つきましては、こちらの記事の内容は現在不要ですのでご注意ください。
SysVinit とsystemd は、どちらもOS起動時に最初に実行されるプロセスであり、システムの管理を行う仕組みです。
systemd が圧倒的に先進的です!
MX inux には、ユーザーが起動時に init ソフトウェアを切り替えることができる仕組みがあります。
既定値のsysVinitでも支障はありませんが、systemdを使用することで、起動が速くなります。
一時的に変更するには、「MX 起動設定ツール」より起動先の設定を変更します。

恒久的に変更するには、下記パッケージをインストールします。
※シャットアウト時にフリーズする可能性があるので、インストール前に、systemd に一時的に変更して起動しておく必要があります。

その他の設定(便利機能)
KDEシステム設定からファイアウォール設定が可能です。
規定で有効になっています。(受信ポリシー:拒否、送信ポリシー:許可)
Web 閲覧やメール、動画視聴がメインであれば、デフォルトのまま「有効」にするだけで十分なセキュリティが確保されます。
外部から自分のPCに接続したい(リモートアクセス)、より強固な制限をかけたい(発信制限)などの場合は、ルールを追加する必要があります。

スケジュールを設定することで、不要なファイルを一括削除してストレージの空き容量を確保します。

不要なWi-Fiドライバ(DKMS)を削除しておくと、カーネル更新時の自動再ビルド対象が減るため、カーネル更新を伴うシステムアップデートの場合、更新時間を大幅に短縮できます。

広告ブロック機能
現在は、標準インストールに入っていませんので、「advert-block-antix パッケージ」を追加インストールします。
公開広告リストを使用して、システムの /etc/hosts ファイルを書き換えます。これにより、OS 全体で広告サーバーとの通信をブロックできるようになります。
※別途、FireFoxのブラウザ拡張機能として、uBlock Origin を使用しています。

従来の「MX Codecs Installer」という専用ツール(mx-codecs)は、最新の MX Linux では「廃止」されました。
VLCメディアプレーヤー にほとんどの動画・音声コーデックが最初から組み込まれているので影響はありません。
