こちらの記事は、 KDE Plasma 6 (Manjaro Linux 24.1.0 Xahea) に対応済みです。
デスクトップセッションは、Wayland使用前提の記事です。
Manjaro Linux について
- Arch オペレーティングシステムをベースとした、高速で軽量なLinux ディストリビューションです。
- ローリングリリースモデルをベースとしており、一度インストールすれば継続的なアップグレードで使用し続けることができます。また、ほとんどのソフトウェアは最新の安定バージョンが提供されます。
- Arch の公式リポジトリを使用せずに、独自の独立したリポジトリを保持しているので、Arch よりも安定しています。
- アップデートは1GB前後のダウンロードが必要な場合もあり、かなりのネットワーク帯域幅が必要です。光回線での運用がお勧めです。
- Xfce をコアデスクトップとして提供し、KDE、GNOMEも提供しています。
Gnome Desktop と Xfce Desktop は、下記の記事を参考に!
インストール
公式wikiを参考に、起動可能なUSBフラッシュドライブを作成します。
USBメモリの容量は8GBあればOKです。
事前に、Manjaro をインストールするPCのBIOS(UEFI) バージョンを最新に更新しておきます。
BIOS(UEFI) 設定画面から、セキュアブートがオフになっているか確認します。
BIOS (UEFI) 設定画面を起動する方法は、使用するPCによって異なりますが、ほとんどの場合、起動直後のロゴ画面で、F2 や Delete キーを押すと表示されます。
PC起動直後のロゴ画面で、F12キーを押して起動メニュー画面を表示させて、USBメモリを選択します。
場合によっては、BIOS(UEFI) 設定画面から起動デバイスの順番を変更する必要もあります。
起動後、下記画面の様に、タイムゾーン、キーボードテーブル、使用する言語を設定し、ブートさせます。
通常は、”Boot with open source drivers” を選択すれば大丈夫です!
Plasma デスクトップ表示後、デスクトップ画面右下にあるシステムトレイの Wi-Fiアイコンを左クリックして Wi-Fiネットワークに接続しましょう。
WiFi接続が出来ない場合は、一時的に有線でインターネット接続させておきます。
手持ちのスマホからのUSBデザリングがお勧めです。
下記の記事も参考に!
Manjaro Hello 画面からインストーラーを起動します。
他のOSとの共存は敷居が高いので、ディスクの消去を選択しています。
スワップ領域の構成は、ファイルにスワップが推奨です!
インストール後に、rootアカウントを無効にしておきましょう!
オフィススイートは、LibreOffice がお勧めです!
画面左下のアプリケーションランチャーからシャットダウンを選択します。
インストール用USBドライブを取り出して、コンピュータを再起動します。
初回起動時のログイン画面左下で、デスクトップセッションを選択出来ます。
「Plasma(Wayland)」を選択しましょう!
ブルートゥース マウス の接続
デスクトップ画面右下にあるシステムトレイの Bluetoothアイコンを左クリックして Bluetoothマウスを接続しましょう。
新しいデバイスを追加で、Bluetooth機器をスキャンします。
初回アップデート
インストールに使用したISOファイルは、ISOファイルが作成された時点でのスナップショットなので、それ以降の更新パッケージがあります。
そのためシステムを最新に更新する必要があります。
ターミナル(Konsole) を起動して、下記のコマンドを入力し、使用するミラーサーバーを日本に設定します。
国内の方が通信が安定して、速度も出ます。
sudo pacman-mirrors --country Japan
下記のコマンドで、パッケージをアップグレードします。
Pacman はコマンド一つでシステム上の全パッケージをアップデートできます。
以下のコマンドは、リポジトリデータベースを同期し、かつ、システム内のパッケージをアップデートします。
sudo pacman -Syu
今回は、約1.5GBのダウンロードが必要です。
アップデート完了後、PCを再起動します!
この記事を書いている時点では、Wayland がデフォルトセッションで起動しています。
ファイアウォールの設定
ソフトウェアの追加と削除を起動して、plasma-firewall パッケージをインストールします。
ファイアウォールタイプは、ufw を選択します。
インストール後、KDEシステム設定よりファイアウォールを有効(Enabled)にします。
rootアカウントを無効にする
セキュリティ上、root(管理者)アカウントで行う処理は、sudo コマンドを使用する方針です。
端末を起動して、以下のコマンドを実行します。
sudo passwd -l root
su root コマンドを実行すると、認証失敗となります。
確認しておきましょう。
Manjaro の設定
Manjaroセッティングマネージャーを起動
日本語以外は削除します。
アプリケーション向けの日本語パッケージをインストールします。
パッケージのインストール時に、下記のメッセージが表示された場合は、ソフトウェアをインストールする前にシステムを最新にアップデートする必要があります。
複数のカーネルをインストール出来ますが、通常はLTSカーネルを使用することをお勧めします!
最新のハードウェアが使用出来ない場合は、最新のカーネルを使用することで、新しい機器が認識出来る可能性があります。
NTPサーバー(Network Time Protocol Server)を利用して、日付と時刻を自動調整します。
「自動的に日付と時刻を設定」にチェックが入っているか確認します。
日本語キーボードに設定します。
日本語入力環境の構築
日本語入力は、Waylandセッション対応のフレームワーク「fcitx5」とgoogle日本語入力派生の「Mozc」をインストールします。
「ソフトウェアの追加と削除」を起動して、「fcitx5-im」を検索します。
4つのパッケージが表示されるので、全て選択します。
「manjaro-asian-input-support-fcitx5」を検索して、インストールします。
「fcitx5-mozc」を選択します。
KDEシステム設定より、入力メソッドの設定を行います。
システムレイアウトを日本語に、入力メソッドの上段に日本語キーボード、下段にMozcを設定します。
Wayland セッションでの使用なので、仮想キーボードに “Fcitx5” を選択します。
PC再起動後、下記の診断メッセージが表示されました。
GTK_IM_MODULE と QT_IM_MODULE が設定され、Wayland 入力メソッドフロントエンドが動作していることを検出しました。
次のコマンドで、設定されている環境変数を確認します。
env | grep IM
冒頭のメッセージに表示されているURLを参照すると、KDE Plasma & Wayland & Fcitx5 の組み合わせでの最適なセットアップは、下記となります。
- XWayland アプリケーションに対して XMODIFIERS=@im=fcitx を設定します。
- 「システム設定」 -> 「仮想キーボード」 -> 「Fcitx 5」を選択して、fcitx5 を起動します。
- GTK_IM_MODULE、QT_IM_MODULE、SDL_IM_MODULE を設定しないでください。
エディタ(kate)で、 ”/etc/profile.d/input-support.sh” を編集し、管理者権限で上書き保存します。
ドキュメントを保存する際に昇格権限を求めるプロンプトが表示されます。
対処療法となりますが、必要の無い3箇所をコメントアウトします。
PC再起動後、冒頭のFcitx5診断メッセージは解消されました!
今後、Wayland & KDE Plasma 6 が標準となれば、このような不具合は解消されると思われます。
日本語フォントの設定
Googleによって開発されたオープンソースの日本語フォントファミリーをインストールします。
システムフォントを変更します。
Firefoxブラウザのフォントを設定します。
Firefoxブラウザに拡張機能を追加
「設定」→「機能拡張とテーマ」→「拡張機能」より、アドオンを検索します。
追加しておくと便利な、広告ブロッカーの「uBlock Origin」と翻訳機能の「Simple Translate」を追加します。
ドロップダウン ターミナル エミュレーター の自動起動設定
Yakuake は、KDE Konsole テクノロジーに基づいたドロップダウン ターミナル エミュレーターです。
ターミナルを頻繁に使用する場合、設定しておくと非常に便利です。
KDE システム設定より、自動起動アプリケーションを追加します。
PC再起動後、下記画面が表示されるので、ホットキーを変更します。
デフォルトでは F12 に設定されています。
ターミナルを使用する必要がある場合、F4キーを入力すると、ターミナルがデスクトップの上部から表示されます。
Timeshift でシステムスナップショットを作成
インストール時のシステムスナップショットを作成しておくことにより、システムが不安定になった場合、インストール時点に簡単に復元出来ます。
初回起動時にセットアップウィザード画面が表示されます。
RSYNC はファイルのバックアップで使用されるツールです。
バックアップ先は外部ディスクを推奨です。
私はシステムに変更を加えるときに都度バックアップをとる方針なので、定期スナップショットは使用していません。
使用するときは、バックアップ先の空きディスク容量を考慮しましょう。
ホームディレクトリは、別手段でバックアップすることを推奨します。
ロールバックすることを考慮して、ホームディレクトリのバックアップは除外しています。
理解を深めるために、下記画面は熟読しましょう!
システムをインストール時点にいつでも戻せるように、手動で初回スナップショットを作成しておきます。
また、システムに大幅な変更を加えるときには、事前にスナップショットを作成することを推奨します。
今回のスナップショットに占めるディスク容量は、11.4GBです。
システムを以前の状態に戻す場合は、スナップショットを選択して、復元ボタンを押すだけです。
定期的なアップデート
パッケージのアップデートがある場合、システムトレイのアップデート通知アイコンに印が付きます。
ダブルクリックすると「ソフトウェアの追加と削除」画面が表示されます。
ダウンロードサイズが非常に大きい場合があるので、アップデートは高速通信環境が必要です。
今回のダウンロードサイズは1.9GBです。
アップデート後の不具合対策に、Timeshift で現在のシステムのスナップショットを保存しておきましょう。
まれにアップデート後にシャットダウンや再起動が出来ない場合があります。
その場合は、ターミナルからコマンド入力でシャットダウンさせます。
sudo shutdown -h now
2024年5月14日時点で、ようやく KDE Plasma 6 にアップグレードされました。
「KDE MegaRelease 6」が公開後、約二ヶ月半遅れでの実装です。
Manjaro はローリングリリースなので、OSの再インストールが不要です!
Google Chrome のインストール
Google Chrome は、Arch User Repository (AUR)からインストールします。
私はシステムの安定性を考慮して、AUR を極力使わない方針ですが、プロプライエタリアプリを使いたい場合等は例外です。
まず、base-devel をインストールします。(AUR のパッケージは、base-devel がインストールされていることを想定しています。)
ソフトウェアの追加と削除より、AUR サポートを有効にします。
データベースをアップデート後、google-chrome パッケージをインストールします。
ネイティブ Wayland サポートは、ブラウザのフラグメニュー(chrome://flags)を使用して有効にできます。
Wayland で検索して、下記三箇所のフラグを指定します。
Chrome リモートデスクトップを使用すれば、オフィスのPCへ接続して、テレワークが可能になります。
「半角/全角」キーがローカルPCに反応してしまい、リモートデスクトップ側で漢字変換が出来ない場合は、「Alt + `」キー or 「Alt + @」キーを使用します。