MX Linux について

MX Linux は Debian Stable をベースにしたデスクトップ向け Linux ディストリビューションです。デフォルトのデスクトップに Xfce を採用した中量級のオペレーティングシステムです。
Windows8世代のPC(メモリ4G以上、SSD推奨)でも、ストレス無く使用出来ます。

MX Linux の重要なコンポーネントであるMXツール(システム管理ツールのコレクション)はとても便利なユーティリティーです。さまざまなタスクを実行する簡単な方法をグラフィカルツールとして提供しています。

MX Linuxはローリングディストロではありません。Debian Stable のベースが変更された場合、システムの安定性と信頼性を考慮するとクリーン インストールが必要になります。

※ あるメジャー バージョンから別のメジャー バージョンに移行する際に、“User Installed Packages” アプリが役立ちます。システムにインストールしたパッケージのリストを含むファイルを基に、別のシステムでそれらのパッケージをインストール出来ます。
※ Debian は、通常2年の周期でメジャーバージョンが上がります。なので、2年毎に再インストールが必要です。
※ Debian Stable のベース変更が無いマイグレーション(MX-21 → MX-21.3 等)の場合は、公式HPに留意すべき点が記載されています。

MX Linux は、公式HPの Users Manual を参考に、Linux 初心者でも迷わずにインストール出来ると思います。MX-23は、日本語PDFを参照出来ます。
また、インストール後は、デスクトップ上のアイコンより、翻訳されたドキュメントに簡単にアクセス出来ます。

私見となりますが、Linux初心者(これから学習したい人)には、MX Linux Xfce Desktop が一番のおすすめです!

KDE Plasma Desktop については、下記の記事を参照下さい。

UEFI で起動する場合は、システムの BIOS/UEFI 設定でセキュアブートがオフになってい
ることを確認します。
PCメーカー毎に設定画面が異なるので、ネットで検索しつつの対応となります。

Live USB をPCに接続し、PCの電源を入れます。
ライブ ブート メニューで、
lang=ja_JP kbd=jp tz=Asia/Tokyo を設定後、MX Linux Xfce を起動します。

Linux では、USB接続のWiFi 無線LAN子機を自動で認識出来ない場合があります。
Live USB 起動で、Buffalo無線LAN子機 WI-U3-866DS は問題無く認識出来ていましたが、TP-Link Archer T2U Nano は認識しませんでした。
XFCEパネルの NetworkManager アプレット を左クリックして確認します。

今回使用する Archer T2U Nano は、超小型タイプなので、ノートPCでの使用の際、抜き差しせずに持ち運ぶことができるので便利です。
USB2.0仕様ですが、5GHz(11ac)に対応しています。Amazonで、1,500円程で購入出来ます。

Archer T2U Nano を使用出来るようにする為、一時的に有線でインターネット接続させておきます。今回は、手持ちのスマホでUSBデザリングしています。

lsusb コマンドで、USBデバイスの情報を表示させます。
Archer T2U Nano は、Realtek の RTL8811AU ネットワークコントローラーを使用していることが確認出来ます。

lsusb

MX Linux で使用出来るRealtekドライバを検索します。
検索結果より、RTL8811AU チップセット用のカーネルモジュールを含むパッケージが、rtl8821au-dkms であることが確認出来ます。
※ Dynamic Kernel Module Support (DKMS)は、ソースが通常カーネルソースツリーの外部にあるLinuxカーネルモジュールの生成を可能にするプログラム/フレームワークです。コンセプトは、新しいカーネルがインストールされたときにDKMSモジュールを自動的に再構築することです。
※ インストールに使用するユーザー名(demo)のパスワードは、demoです。

sudo apt search rtl88

インストール済みの3つのパッケージは必要無いので、削除しておきます。

sudo apt remove rtl8821cu-dkms rtl8821ce-dkms rtl8812au-dkms

rtl8821au-dkms パッケージをインストールします。

sudo apt install rtl8821au-dkms

ドライバパッケージをインストールしただけでは、認識しません。
modprobe コマンドで、カーネルモジュールをロードします。

sudo modprobe 8821au

lsmod コマンドで、ロード済みのカーネルモジュールを確認します。

lsmod

ここまでの設定で、WiFi接続が可能になっています。
XFCEパネルの NetworkManager アプレット を左クリックして、利用可能なWiFiネットワークから選択設定します。

ひと手間かかりましたが、接続出来ました。
スマホからのUSBデザリングは、もう必要が無いので切断しておきます。

無線LAN子機が検出出来ているかについては、MXツールの MX Network Assistant から確認出来ます。
下記画面の wlan0 が USB接続のWiFi 無線LAN子機です。

lsusb コマンドでツリー表示させた結果です。

lsusb -t

今回は、MX-23 “Libretto” Release Candidate 3 の ISOイメージを使用しているので、インストーラーの不具合等を回避する目的で、パッケージを事前アップグレードしています。

sudo apt update
sudo apt upgrade

インストール

デスクトップ上のインストールアイコンをクリックします。

メディアチェック

キーボード設定確認

複数ディスク構成の場合、使用ディスクを選択することで、デュアルブート(DualBoot)も可能ですが、止めておいたほうが無難です。1台のPCに、1つのOSが基本です!
スワップは、デフォルトでスワップファイルが使用されます。

私は、SAMBAサーバーの機能を使用しないので、チェックを外しています。

言語、時刻の設定確認

Root(管理者)アカウントを利用不可とするため、rootパスワードは設定していません。
管理者権限が必要な場合は、sudo コマンドを使用します。
カジュアルユーザーでrootアカウントを利用することはほぼ無いと思います。
セキュリティ上、安全です!

自動再起動のチェックを外しています。

インストール完了後、通常シャットダウンを行い、USBメディアを取り外します。
PCの電源を入れて、MX-Linux を起動しましょう。

セキュリティ(UFWファイアウォール)

設定マネージャーよりファイアウォールを選択し、Status を右スライドして有効にします。
※UFW ファイアウォールはデフォルトで有効になっています。

ファイアウォールにより、インターネットを通じた外部から内部への不正な侵入を遮断し、内部から外部への不正なアクセスを禁止することが出来ます。

システムロケールの生成

ロケールとは複数の言語を切り替えて使えるようにする仕組みです。
標準では、複数言語がインストールされているので、不要な言語を削除します。
MX ロケールマネージャで、「使用中のロケール以外を無効にする」を選択します。

リポジトリの変更

MXツールのMXリポジトリマネージャーを起動して、使用するミラーサーバーを設定します。

MXリポジトリ、Debianリポジトリ、それぞれ設定しておきます。
画面下の「自分用に最速・・・を選択」から最適なミラーを自動設定出来ますが、状況によっては誤認設定されてしまうことがあるので確認が必要です。

初回アップグレード

インストール時にアップグレードしている場合は、こちらの操作は必要ありません!

MXパッケージ・インストーラーの安定版のリポジトリタブを開き、リストの更新を選択するとパッケージ情報が更新されます。
アップグレード可能のパッケージ数が表示されていれば、全てアップグレードを選択します。

アップグレード可能パッケージがある場合は、XFCEパネルにあるMXアップデーターが緑色に点灯します。

処理状況がコンソール出力されて、インストール状況を確認出来ます。

不要になったパッケージを削除

MXパッケージインストーラより、「パッケージの自動削除」を選択しましょう。
不要になったパッケージを削除出来ます。(コマンドは下記)

sudo apt autoremove

日本語環境の設定

MXパッケージインストーラを起動して、japanで検索します。
各アプリ用の日本語パッケージです。

日本語入力は、「fcitx5」フレームワークとGoogle 日本語入力「Mozc」を使用します。
fcitx5 fcitx5-mozc パッケージをインストールします。
インストール時に、「推奨パッケージもインストール」を必ず有効にして下さい。
必要な依存パッケージも同時にインストールしてくれます。

インストール後、PCを再起動して、設定マネージャーの Fcitx設定を起動します。
変換エンジンは Mozc を使用するので、Anthy は外して Mozc のみとします。

MXパッケージインストーラより、google の無料フォントファミリー、「Noto CJK JP」をインストールします。

絵文字が変換候補に表示されない場合は、”fonts-noto-color-emoji”パッケージをインストールします。
PC再起動後に、絵文字が変換候補に表示されます。

設定マネージャーから下記画面のフォントを変更します。

ブラウザのフォントを変更しておきます。

initプロセス変更 sysVinit → systemd

MX Linux では、初期プロセス実行方法を選択出来る仕組みがあります。
近年主流の systemd を使用することで、起動が速くなります。

MX Linux 21.3 のインストール時点では、 sysVinit が使用されています。
systemd はデフォルトでは有効にされていません。
下記画面のコマンドで、systemd を使用しているか確認出来ます。

systemctl

systemd-sysv パッケージをインストールします。
※systemd-sysv をインストールすると、/sbin/init を systemd への シンボリックリンクで上書きします。

PCを再起動します。
下記画面のコマンドで、systemd に変更されたことが確認出来ます。

ps -p 1

定期的な SSD TRIM も有効になっています。

sudo systemctl status fstrim.timer

注意点として(公式HPより)
The only disadvantage to a systemd-only setup is that the MX live system doesn’t work 100% with it (snapshot and the live usb persistence features).

その他 便利機能

MXツールより、コーデックのインストールを行います。
MX コーデックインストーラのアイコンが無ければ、「mx-codecs」パッケージをインストールしましょう!

MX クリーンアップのスケジュールを設定します。

削除用ツール項目より、未使用のWiFiドライバが削除出来ます。
新しいカーネルがインストールされたときに DKMS モジュールのリビルド処理が自動的に実行されます。
リビルドは結構な時間が必要なので、不要なWiFiドライバは削除しておきましょう。
下記では、3つのパッケージが削除されます。

設定マネージャーから広告ブロックを設定します。

「gnome-disk-utility」パッケージをインストールします。
ブート可能なISOイメージファイルをもとに、ブータブルUSBメモリを簡単に作成できます。
GNOMEデスクトップ用のツールですが、XFCEデスクトップでも見た目が上手く調和します。

Whisker Menu のカテゴリを左に表示する

Whisker Menu のカテゴリが右側に表示されていて違和感があるので、左表示に変更します。

Applications Menu のアイコン上で右クリックしてプロパティを選択します。
外観タブで、カテゴリを左に表示するにチェックを入れます。

こちらの方が使いやすい・・・

時計パネル

パネル上の時計表示を変更します。
ツールチップの形式とフォントを設定します。

Firefox 拡張機能

広告をブロックする uBlock Origin と翻訳機能の Simple Translate を追加しておきます。

Google翻訳API の翻訳エンジンが既定値ですが、DeepL API も使用出来ます。
使用料無料の DeepL API Free に登録して認証キーを取得する場合は、クレジットカード登録が必須なので注意が必要です。私は、Google翻訳API で使用しています。

ウィンドウ枠を太くしてマウスでつかみやすくする

高解像度ディスプレイを利用していると、ウィンドウの境界線が細すぎるため、ウィンドウのサイズを簡単に変更できません。
ウィンドウ枠が細くマウスでつかみにくいので、MX Tweak のテーマを変更します。テーマのオプションより、”Thick Borders” を選択します。

Timeshift (システムのスナップショット作成)

インストール後やシステムに変更を加える前に、システム全体のスナップショットを作成しておくことを推奨します。
システムに不具合が発生した場合、直前の状態に戻すことが出来ます。

TimeShift 初回起動時にセットアップウィザード画面が表示されます。
スナップショットの場所は、システムとは別のメディア(USBメモリやSDカード)を指定しましょう!

初回のスナップショットを作成します。

VPN接続

こちらの記事を参考にして下さい!

Zoomアプリのインストール

インストール後、PCを再起動するとインプットメソッドフレームワークがIBUSに変更されています。
設定をFcitx5に戻す為に、im-config コマンドを実行します。
zenity パッケージが不足しているので、インストールします。

再度、im-config コマンドを実行

「はい」を選択

「fcitx5」を選択